さて、シリーズで解説してきた入門向け望遠鏡「ラプトル50」、
ずいぶん長く引張ってしまいましたし、間があいて、
機を逸した感がありますがそろそろまとめに入りたいと思います。
少し長くなりますがお許しを・・・
写真は「ラプトル50」のロゴを発売元のサイトからダウンロードして
印刷して張り付けたものです。(ちょっとカッコいいでしょ)
今回は本当に「ラプトル50」は買いなのかどうかについて
説明したいと思います。
ネットの掲示板などを見ていますと評価が2分されていて、
総じて実物を見たことも触ったこともないマニアの人からは
冷たい視線で見られ、実際に購入し子供たちに使わせている
人たちからは絶賛を受けているという傾向にあります。。
マニアの人たちの中には(決して全部ではありませんよ)
自分の頭の中の知識だけで理想像を組立て、
そこから少しでも外れたものは全く認めないというかたが
ときどきいます。
彼らの「ラプトル50」に対する評価は
・三脚、架台の剛性がなってなくて、使い物にならない
・光学式ファインダーがついていないのは不親切で、初心者に不向き
・微動装置がついていないのは不便
・アイピースが良くない
etc・・・
おかしいのはこれらの評価が現物の「ラプトル50」に
一度も触れていないのになされていることが多いことです。
そしてさらに笑止なのがこれらの評価が実はそのまま
「ラプトル50」のメリットになっていると言うことです。
つまり、
・三脚、架台の剛性不足
「ラプトル50」が非常に軽いと言うことで、小学校低学年の子供でも
大人の手を借りず手軽に使えるものであることの裏返しです。
望遠鏡はとにかく頑丈に重く作れば良いと考えている
元鋳物メーカーの信奉者には理解しがたいことかも知れませんが、
初心者や子供は重い望遠鏡に手を出しません。
「ラプトル50」自身それほど高倍率を狙っていませんので
我慢できないほどの剛性不足ではないと断言できます。
もちろん改良の余地はあると思いますが・・・
・光学式ファインダー
以前に連載した「買っちゃダメだよ」な望遠鏡には
なぜか光学式ファインダーが付いていました。
でも、みんなシングルレンズの視界の狭い、組立てるたびに
再現性がなく調整が必要で、調整もまともに出来ず、
あわせてもすぐに狂う、暗い星もぜんぜん見えない、
というものがほとんどでした。
これらに較べると「ラプトル50」の照準のほうが狂いがなく
調整が不要で、直感的に使えます。
また、最近流行のレッドドットファインダーと較べても、
出来の悪いドットファインダーよりもはるかに暗い星まで
導入できて快適です。
また、子供や初心者はドットファインダーのドットを
見つけることができず苦労する人もいるので、
これも「ラプトル50」の勝です。
まともに見える光学式ファインダーとなると
口径3cmくらいが必要になりますが、新品で買った
ら「ラプトル50」が買えちゃう値段かもしれませんしね・・・
・微動装置がない
通常微動装置の付いた望遠鏡の操作というのは、
クランプ(止めネジ)を緩める→
粗動でだいたいの位置に合わせる→
クランプを締める→
微動で調整する、
という一連の操作が必要になります。
子供や初心者にはこのクランプの操作が非常に煩わしいようで、
直感的に使うことが出来ないことが多いです。
ビクセンのポルタ型経緯台のようにフリーストップ+微動という
クランプレスの使い方の出来る機種は非常に稀な存在で、
その意味でポルタはかなり優れた機種だと思いますが、
小学生が1人で使うには少し大きすぎますし、
架台部分と三脚だけで「ラプトル50」が2台買える値段ですので
ちょっと考えものです。
昔からあるタイプの微動付きの経緯台というのは
微動を動かすたびにブルブル揺れて振動が収まるまで
結構時間が掛かっていたと思いますので、初心者にはそれほど
親切なものではないような気がします。
・アイピースが悪い
「ラプトル50」の価格というのは、メーカー製のアイピース1本分の
値段でしかありません。(それ以下かもしれません)
それでも3本のアイピースが付属する「ラプトル50」に
もんくを付けること自体間違いだと思います。
マニアが使う1本何万円もするようなアイピースと較べて
良く見るとか、見えないとか議論することは
無意味とはいいませんが、かなりピントのずれた議論だと言えます。
写真のアイピース、右が「ラプトル50」1台分くらい、
左が6台分!くらいの価格です。
初心者にアイピースを交換することにより
倍率を変えることを知ってもらう、
倍率を変えていろいろ見比べて楽しむことを知ってもらうのが
第一の目的でしょうから、価格のわりには充分な性能の
アイピースが付属するといって良いと思います。
いっぽう絶賛派の話は・・・
全くの初心者である小学3年生のお子さんが、
すぐに使い方を覚え、明け方に1人で「ラプトル50」を
引っ張り出して土星を見つけて大感動、
家族をたたき起こして一家の英雄になったとか・・・・
また、天体観測会で小学生の子供に「ラプトル50」の
使い方を教えたら、その子が別の子に教え、
また別の子にといった具合に「ラプトル50」の人気が高まってゆき、
しまいには主催者側が用意した大型の望遠鏡よりも
たくさんの人だかりが「ラプトル50」に出来てしまった
(自分で簡単に望遠鏡が操作できるのが人気らしい)
という話もあります。
いずれも実際に初心者の子供に使わせて生まれた話です。
マニアがケチをつけている部分がいかにピント外れかが
解かります。
「ラプトル50」は巷に蔓延する「買っちゃダメな望遠鏡」と戦うために
生まれたと発売元の大沼さんは言っています。
マニアに気に入ってもらうための製品でないのがマニアから
ケチの付く一番の原因かも知れません。
さて、そろそろ結論です。
初心者向けの望遠鏡としての選択肢は
もちろんたくさんあると思います。
初めから高価でも一生モンの買い替えの必要のない製品を
選ぶのもひとつの選択肢です。
(一声10~20万円のクラス、
例えばアポクロマートの8cm屈折+赤道儀など)
そこまで行かなくても、とりあえずしばらくは遊べて
、持っていて人に少しは自慢できる性能のもの
(5万円クラス、例えばアクロマートの8cm屈折+ポルタなど)
も「あり!」な選択肢です。
でも、いつまで興味の続くか解からない子供に、
とにかく安く、でも月のクレータも土星の輪も
しっかり見えるものを与えたいと考えるなら
迷わず「ラプトル50」(6980円)だと思います。
最後に、マニアの皆さんへのお願いです。
粗悪望遠鏡が蔓延するのを対岸の火事と思わないで下さい。
世の中で売っている望遠鏡の9割にもおよぶ「買っちゃダメな望遠鏡」を
皆さんの隣人が買わないよう、目を光らせてください。
声を大にして粗悪望遠鏡が蔓延していることを宣伝してください。
そして、皆さんの周りの初心者がしっかりした性能の望遠鏡を
購入できるよう優しくアドバイスしてあげてください。
「これなんかどう?」といえるように、
手元に一台「ラプトル50」を置いておくのがベターと思います。
「ラプトル50」で月を見るとかなりシビレます。
それだけでも6980円は高くないと思うのですが・・・
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